市町村のSNSアカウントの開設が地域活性化に与える影響

柿沼 歩夢
築山宏樹研究会三田祭論文集』 第5(2024): pp.165-178.

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要約

少子高齢化が進む中、地域活性化のための自治体のSNSの活用が進んでいる。しかし、このような自治体のSNS活用が地域活性化に与える影響については国内ではほとんど研究がない。そこで、本稿は、2010年から2022年までの千葉県市町村の観光入込客数と流入人口のパネルデータを構築して市町村のSNSアカウントの開設が観光入込客数や流入人口の増加にどのような影響を与えるのかを、固定効果モデルに基づくパネルデータ分析によって検証した。その結果、SNSアカウントの開設はその自治体の観光入込客数増加率に正の影響を与えること、また、それらの効果はフォロワー数が多い自治体でより強まることが明らかになった。加えて、実際に市町村のSNS運用が成功している自治体の質的分析を実施した結果、明確な運用目的を定めて、工夫した運用を行うことで発信力を強めることが可能になり、地域活性化につながることが明らかになった。市町村が目的に沿ったSNS運用を行うことで、地域経済の活性化、地方創生に繋がるものと期待される。