電力制度の変化による再生可能エネルギーの普及と脱炭素の関連

諏訪部 絢子
築山宏樹研究会三田祭論文集』 第4(2023): pp.111-126.

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要約

国際的な課題である温室効果ガスの削減には、エネルギー転換が重要である。日本におけるエネルギー転換を進める制度的要因に電気事業制度改革と固定価格買取制度が挙げられる。これらは柔軟な電力市場を生み出し、再生可能エネルギー事業への新規参入を容易にした。そこで本稿は、2016年から2020年までの旧一般電気事業者を除く小規模電気事業者の発電量のデータを用いて、小規模電気事業者が再生可能エネルギーの普及と二酸化炭素排出量削減に与える影響を分析した。分析結果からは、小規模電気事業者の増加は再生可能エネルギーの普及を促し、最終的に二酸化炭素排出量を削減させることが明らかになった。これらの知見から、小規模電気事業者を支える適切な制度改革や、補助金をはじめとした支援の重要性が示唆される。