太陽光発電補助金の政策効果―市区町村データによる実証分析―
青木 瑞季
『築山宏樹研究会三田祭論文集』 第5巻(2024): pp.109-120.
要約
FIT制度は、個人や法人が発電した再生可能エネルギーを国が電力消費者から集めた賦課金で補助金を給付し、再生可能エネルギーへの参入を促進させるものである。この制度により、再生可能エネルギーの導入が推進されてきたが、再生可能エネルギーの導入状況には依然として地域差が存在している。このような地域差はどのような制度的要因によるものだろうか。そこで、本稿では、自治体の独自の取り組みとして太陽光発電に対する補助金制度の効果に注目した上で、2019年から2023年までの市区町村別データを用いて、日本国内の市区町村の太陽光発電補助金制度の有無および補助金上限額が太陽光発電パネル設置件数に与える影響を分析した。その結果、補助金制度の存在、補助金上限額の高さのどちらもが太陽光発電パネル設置件数に正の影響を与えていることが明らかとなった。太陽光発電の補助金による導入支援は、初期費用を低下させて太陽光発電の導入を促進するものと考えられる。