読書による学習・心理的効果に関する実証研究―日本の小学生に対するアンケート調査の分析から―

中澤 康紀
築山宏樹研究会三田祭論文集』 第2(2021): pp.105-120.

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要約

本稿では、読書活動に関する研究や報告に基づく、読書の学習・心理的効果に関する考察について実証的に検討する。読書の効果に関しては多様な理論的考察がなされているが、それらに対する実証研究は少ない。本稿では、日本の小学生へのアンケート調査を用いて、読書量が学習・心理的効果に与える影響を検討した。その結果、読書量が高いほど、国語の成績・自然科学/国語人文/社会歴史分野への関心・集中力が高く、一方でリベラル思考傾向が低いという結果が示された。読書の効果と副作用について理解を進めることは、日本の教育現場において普及している読書学習の方法論を検討し改善する上で重要である。