緊急避妊薬のOTC化と経口避妊薬の普及率向上を進める要因

岡田 希美
築山宏樹研究会三田祭論文集』 第2(2021): pp.31-42.

論文ファイルへアクセス (PDF)

要約

本稿では、女性の性と生殖に関する自己決定権の一つとして、緊急避妊薬の OTC(Over The Counter; 市販)化と経口避妊薬の普及率の向上を進める要因を検証する。既存研究では避妊薬の普及について一国内での要因分析を行ったものや、社会的要因のみに着目したものが多い。本稿では国の地域的、文化的な異質性を可能な限り統制するため、ヨーロッパ・北アメリカ・オセアニア圏約 40 カ国の、より横断的なデータを用いて、社会的要因のみならず政治的要因にも注目し、パネルデータ分析を行った。分析の結果、緊急避妊薬のOTC化は女性の議員割合、女性の教育水準、女性の就業の向上によって促進されることが示された。今後、これらの政治的、社会的状況を改善することによって、未だ緊急避妊薬のOTC化が未承認である国においても OTC化の実現が期待できると考えられる。